ホリスティック・マーケティング:4つの構成要素
ホリスティック・マーケティングは、
- リレーションシップ・マーケティング
- インターナル・マーケティング
- 統合型マーケティング
- 社会的責任マーケティング
の4つの要素から構成されます。(「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版 」p21 より)
リレーションシップ・マーケティング
リレーションシップ・マーケティングとは、
- マーケティング活動に影響をおよぼす人や組織と「マーケティング・ネットワーク」を築く
ことです。
マーケティング活動を統合的に動かすためには、
- 顧客
- 従業員
- パートナー(供給業者、協力企業、協力団体など)
- 財務メンバー(株主、投資家、銀行など)
といったステークホルダー(関係者)としっかりした関係性が構築されていなければなりません。
そのしっかりとした関係性のことを「マーケティング・ネットワーク」と呼びます。
マーケティングネットワークは、それぞれのステークホルダーとの日々のコミュニケーションや協業によって構築されるものであり、すぐに作れるものではありません。
そのため、強固なマーケティングネットワークを作り上げることが、マーケティング戦略の成功に重要な役割を果たします。
詳しくはこちらの記事もご覧ください。
インターナル・マーケティング
インターナル・マーケティングとは従業員に対して、
- マーケティングの観点から社内業務を提供して従業員満足度(ES)を高める
- マーケティング戦略への理解を促して全社的な協業体制を築く
という2つの意味がありますが、ホリスティック・マーケティングの視点では後者の考え方がより重要になります。
マーケティング活動で一番重要な役割を果たすのが従業員です。
従業員は製品やサービスの提供によって価値を生み出し、顧客との接点で価値を伝える役割も持っています。またパートナーに連携を促すことも、従業員が重要な役割を担います。
そのためすべての従業員がマーケティング戦略を理解して、一丸となってマーケティング活動を行うことが理想的です。
詳しくはこちらの記事もご覧ください。
統合型マーケティング
統合型マーケティングは、
- Product:製品
- Price:価格
- Place:流通
- Promotion:プロモーション
というマーケティングミックス(4P)を統合することで、消費者(顧客)に価値を届ける活動のことです。
このマーケティングミックスの活動プログラムは、マーケターによって生み出されます。
マーケターとは、
- 需要を顕在化(けんざいか)させる
- 見込み客を作り出して状態を変化させる
ことに長けたマーケティングの専門家のことで、
- バランス需要:需要と売り手の供給量が一致している状態
- 過剰需要:需要が大きすぎて供給が追いつかない状態
- 変動需要:季節変動など需要そのものに波がある状態
- 減少需要:消費者がその製品を購入する頻度を減らしている状態
- 逆需要:消費者はその製品を好まないどころか避けたい状態
- ゼロ需要:消費者はその製品を知らない又は興味がない状態
- 潜在需要:消費者のニーズが既存製品では満たされていない状態
- 不健全需要:社会的に望ましくない製品に需要がある状態
という8タイプの需要に対する打ち手を考えるのが役割です。
対象となる顧客のニーズやウォンツを把握し、「製品」「価格」「流通」「プロモーション」の4つの視点から需要(デマンド)に対応できるマーケティング活動のプログラムを考えることが、統合型マーケティングの実現につながります。
社会的責任マーケティング
社会的責任マーケティングとは、
- 倫理
- 環境
- 法
- 社会的文脈
などの視点から、マーケティング活動の社会への影響を考えて対応することです。
例えば、自動車は便利な乗り物ですが、急速に普及すると排気ガスなどによって社会に環境汚染を引き起こします。そのため自動車メーカーは、自動車の利便性を高めつつも、燃費を良くしたり、排出する有毒なガスの量を減らしたりなど、社会的な負担を減らすことに努めました。
このようにマーケティング活動は消費者に価値を提供する一方で、製品やサービスが社会にマイナスの影響を与えることもあるため、ステークホルダー(利害関係者)だけでなく社会全体についても考える必要があります。