AIDMA(アイドマ)の法則はもう古い?最新AISASまでの進化と違いを解説

AIDMA AISAS AIDA

AIDMAの法則と購買意思決定プロセスの違い

AIDMAの法則は「マーケターの視点」から「広告に限定」して、消費者を理解しようとするモデルです。そのため視野が狭くなってしまい、マーケティング全体との整合性を取るためには不十分です。

そこで役に立つのが「消費者の視点」から購買の意思決定に至るまでの流れを説明した「購買意思決定プロセス」です。

購買意思決定プロセスとは、

  1. 問題認識:問題やニーズを認識する
  2. 情報探索:問題解決のために情報収集する
  3. 代替品の評価:複数の選択肢を評価する
  4. 購買決定:購買のために最終決定する
  5. 購買後の行動:購買決定そのものを評価する

といったプロセスで、消費者の購買決定を説明するモデルです。

購買意思決定プロセス

詳しい内容は、上記の記事を参照いただきたいのですが、この「購買意思決定プロセス」をAIDMAの法則などの「広告反応モデル」と重ね合わせてみると、下図のようになります。

AIDMAの法則と購買意思決定プロセス

この図を見ると、購買決定プロセス(購買意思決定プロセス)は広告反応モデルの間に位置していて、お互いに関係が深いことがわかります。

また「AIDMAの法則」は、

  • 購買後の行動

をカバーできていないこともわかります。

このように、購買意思決定プロセスと照らし合わせることで、AIDMAの法則の弱い部分がわかったり、それぞれの広告が促す消費者の行動を理解することができます。

AIDMAのベース「AIDAモデル」

AIDA(アイーダ)モデルとは、

  1. Attention(注意):消費者が製品やサービスの存在に気づく
  2. Interest(関心):消費者が製品やサービスを気になりはじめる
  3. Desire(欲求):消費者が製品やサービスを欲しくなる
  4. Action(行動):消費者が製品やサービスに対して行動する

という4つのプロセスで説明した広告反応モデルのことです。

AIDAモデル


参考
AIDAWikipedia

AIDAモデルの原型が世に現れたのは、1880年代の後半にまで遡ります。

The mission of an advertisement is to sell goods. To do this, it must attract attention, of course; but attracting attention is only an auxiliary detail. The announcement should contain matter which will interest and convince

広告の使命は商品を売ることだ。そのためには、もちろん注意(Attention)を引かなければならない。しかし注意を引くことは、些細な補助にすぎない。広告の声明は、興味(Interest)を持たせる要素と納得(Convince)させる要素を含む必要がある。

Printers’ Ink(1889年2月9日発行)p50 より引用・筆者翻訳

上記の文献には「Attraction」と「Interest」という要素が登場し、消費者を「Convince(納得させる)」という表現になっています。

その後、1900年にアメリカの経営者であるフレッド・メーシー(Fred Macey)氏が、彼が審査を務めた広告のコンテストで以下のような言葉を残しています。

1st The advertisement must receive “Attention,” 2d. Having attention it must create “Interest,” 3d. Having the reader’s interest it must create “Desire to Buy,” 4th. Having created the desire to buy it should help “Decision”.

第1に、広告は「注意(Attention)」を引かねばならない。第2に、注意は「興味(Interest)」を生み出さなければならない。第3に、読み手の興味が「購入への欲求(Desire to Buy)」を生まなければならない。第4に、生み出された欲求は購買の「意思決定(Decision)」を手助けしなければならない。

“The Bissell Prize Advertisement Contest,” Hardware, March 1900, p. 44.より引用・筆者翻訳

この頃には「Attention」「Interest」「Desire」まで、3つが揃いました。

そして1904年に「Salesmanship(セールスマンシップ)」という書籍に掲載されたフランク・ハッチンソン・デュークスミス(Frank Hutchinson Dukesmith)氏の記事で、「Attention」「Interest」「Desire」「Action」の4つが揃います。

しかし「AIDA(アイーダ)」という呼び方が登場したのはさらに後になります。

「AIDA」という頭字語が明確に登場したのは、1921年に書かれたラッセル(C. P. Russell)氏による以下の一文です。

An easy way to remember this formula is to call in the “law of association,” which is the old reliable among memory aids. It is to be noted that, reading downward, the first letters of these words spell the opera “Aida.”

(広告の反応に対する)公式を簡単に思い出すために役立つのが「連想の法則」だ。公式を上から下へと頭文字だけ読んでいけば、オペラの演目「アイーダ(Aida)」の綴りになることがわかる。

Printers’ Ink(1921年6月2日発行)より引用・筆者翻訳

ラッセル氏は、18世紀の作曲家ジュゼッペ・フォルトゥニーノ・フランチェスコ・ヴェルディ(Giuseppe Fortunino Francesco Verdi)氏による有名なオペラ「アイーダ」を引用して、「Attention」「Interest」「Desire」「Action」の4つを覚えることを提案しました。


参考
アイーダウィキペディア

広告反応モデルの「AIDA」という略称は、オペラの「アイーダ」に由来していたのは意外ですよね。

そしてその3年後、1924年にサミュエル・ローランド・ホール(Samuel Roland Hall)氏が「AIDMAの法則」と呼ばれる派生モデルを発表し、その後もAIDAモデルをベースにした様々な広告反応モデルが生まれました。

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