戦略的価値顧客
戦略的価値(Strategic-value)顧客とは、
- 供給業者にパートナーとしての戦略的な関係性を求める顧客
のことです。
この戦略的価値顧客は、製品やサービスそのものの価値だけでなく、供給業者を長期的な関係性を築くべきパートナーとして考えていて、顧客の事業戦略の遂行にとって重要な役割があると考えています。
別の分類ではサプライチェーン・マネジメント志向(Supply chain management Oriented)とも呼ばれ、原材料の調達から最終顧客への納品まで、サプライチェーンの一連の流れをシームレスに繋ぐことで価値を高めようとします。
このような顧客は、
- 供給業者との密な連携が競争力につながる業界
- 供給業者の数が限られていて業務提携が戦略につながる業界
などに存在しています。
戦略的価値顧客は、供給業者の提供する製品やサービスが、顧客の製品やサービスの競争力の一部を担っている可能性があります。そのため、供給業者を1つに絞りと戦略的な提携関係を結ぶことで、競争力の維持や強化を目指します。
また、供給業者の数が限られている業界では、供給業者の確保が事業継続のための死活問題になるため、供給業者を戦略上のパートナーとして長期的な関係性を構築しようとします。
企業販売での対応
このような戦略的価値顧客への対応は、
- 大きな取引量や長期にわたる取引を条件とした契約
を取り付ける企業販売(Enterprise selling)を目指します。
供給業者は特定の顧客と戦略的なパートナーになるということは、多くの経営資源をその顧客に費やすことになり、連携がうまくいかなかった場合や契約が切られた場合に大きな損失を招くかもしれません。
そういったリスクを小さくするためにも、供給業者は企業販売によって顧客に大きな販売ボリュームを約束させたり、長期間の契約を条件にすることが考えられます。
例えば、食品加工業者が特定の農家から独占的に原料を調達する代わりに、農家は長期に渡って一定以上の価格で全数買取をしてもらうことを約束させます。
企業顧客タイプの見極め
ここまで4つの企業顧客の購買タイプをご紹介しましたが、営業担当者やマーケターは比較的早い段階で顧客がどのタイプなのか見極める必要があります。
例えば、価格志向の顧客に対して、課題を解決する提案をアレコレしても「余計な世話は必要ないから、その分安くしてくれ。」と言われるかもしれません。逆に、ソリューション志向顧客に対して価格が安いことだけをアピールしても「安いけど、万が一の時が心配…。」と敬遠されてしまいます。
これは「QCD(品質、コスト、デリバリー)」のバランスの問題でもあります。
QCDとは、
- Quality:品質
- Cost:コスト
- Delivery:デリバリー
の頭文字で、製品やサービスの提供で重視される3つの視点です。
企業顧客のタイプによって、これらのQCDが求められるバランスが異なります。
そのバランスの違いを知るためには、顧客が置かれている業界の構造や、顧客が直面している課題やニーズを理解する必要があります。
その上で、企業顧客のタイプに合わせたマーケティング戦略を考えることが重要です。