アンゾフのマトリクスの3つの全社戦略(多角化戦略)
多角化戦略は、「垂直多角化戦略」「水平多角化戦略」「外側(がいそく)多角化戦略」に分けることができます。いずれも全社戦略として分類されます。
これらの多角化戦略は「範囲の経済」とも強く関連しています。
範囲の経済とは、
- 複数の事業を別々の企業がやるより1つの企業がまとめてやる方がコスト優位になる状況
のこと。
一方で、多角化することが裏目に出てしまい、企業価値が低下することを「多角化ディスカウント」「コングロマリット・ディスカウント」などと呼びます。
多角化戦略は大きなリスクを伴うため、事業単位レベルでの意思決定は難しく、会社全体の戦略として運用されます。
垂直多角化戦略
垂直多角化戦略(Vertical Diversification Strategy、バーティカル・ダイバーシフィケーション・ストラタジー)とは、
- サプライチェーン(供給連鎖)の上流、または下流に進出する全社戦略
です。
統合の対象は、原材料や部品を供給する川上にある企業や、顧客により近い川下の企業になります。垂直統合することで、範囲の経済を見込んだり、新しい技術やノウハウも取得することもできます。
水平多角化戦略
水平多角化戦略(Horizontal Diversification Strategy)とは、
- 現状の経営資源を有効活用しながら、そこに新しい経営資源も加えて、新たな商品・サービスで新しいニーズに対応する全社戦略
です。
一般的に多くの人が想像する多角化戦略が、この水平多角化戦略です。
外側多角化戦略
外側多角化戦略(Lateral Diversification Strategy)とは、「外側」は「がいそく」と読んで、「外側に開かれた多角化戦略」という意味があります。「集約的多角化戦略」とも呼ばれます。
- 今までに作ったことのない商品やサービスで、まったく畑違いの分野のニーズを満たそうとする全社戦略
になります。
要するに、なんでもありの多角化戦略です。
ちなみに「関連多角化」や「非関連多角化」という言葉がありますが、この外側多角化戦略は「非関連多角化」です。
これ以外の多角化戦略は、何かしら現状の事業に関連しているため、「関連多角化」であると言えます。