経営戦略に一貫性を生む経営理念
「全社戦略(企業戦略)」「事業戦略」「機能戦略(機能別戦略)」全てを一本に繋ぐのが、経営理念です。
経営理念は内容も形式も会社によって様々ですが、ここでは企業の「社会的使命(ミッション)」「理想像(ビジョン)」「価値観(バリュー)」などを総称して「経営理念」と呼ぶことにします。
ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)策定フレームワーク:MVVB分析
全ての経営戦略が経営理念によって繋がることで、企業の行動に一貫性が生まれます。行動に一貫性が生まれれば、社員全員の足並みが揃って経営資源を最大限に活かすことができます。
そのため、同じ経営資源を持つ会社同士が戦っても、経営理念が浸透し戦略に一貫性がある方が有利になります。
ボトムアップの経営戦略
ここまで紹介したのは、全社戦略などの上位戦略に事業戦略や機能戦略が帰属している「トップダウン」の戦略になります。それでは逆に機能戦略が全社戦略を支配するような、「ボトムアップ」の戦略は存在しているのでしょうか?
結論としては「見かけ上」ボトムアップの戦略は、存在していると思います。例えば機能での成功体験からKSF(勝ちパターン)が見つかり、それを全社戦略や事業戦略に取り入れて修正を行う場合などです。
しかし機能責任者は、経営陣の人選をすることもできなければ、会社全体の経営資源の配分に口出しをすることはできません。そのため本当の意味での「ボトムアップ戦略」というものは、組織構造的に実現することが出来ないのです。
経営戦略の階層構造まとめ
ここまでの話をまとめると、戦略は全社戦略の方針を引き継ぎながら、機能戦略まで分割されるピラミッド構造を持っていると言えます。それらの経営戦略すべての一貫性は、経営理念が握っています。
会社の社員ひとりひとりにとっては、自分が関わっている戦略のこと以外は見えにくくなります。経営者は会社が大きくなるほどに現場の状況がわからなくなり、現場に近い立場にいるほど経営の全体像は見えなくなります。
そのようなことが起こるのは当然のことですが、互いにいがみ合ってしまえば、それが「組織の弱み」となります。そのためには、経営理念の存在とコミュニケーションの密度がより重要になってきます。
それぞれの戦略については、こちらの記事をご覧ください。
企業戦略とは?会社全体に影響を与える戦略の意味と例 事業戦略とは?戦略事業単位(SBU)ごとに機能を統合する戦略 機能戦略とは?戦術と関わりが深い最前線で戦うための戦略
おすすめの書籍
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