PPM分析の4つの事業タイプ
まずはバブルチャートを4つに区切った場合の、それぞれのエリアについて説明したいと思います。
PPM分析の4つの事業タイプは、
- 問題児(Question Marks)
- 花形(Stars)
- 金のなる木(Cash Cows)
- 負け犬(Dogs)
です。
問題児(Question Marks)
まずは右上の「問題児(Question Marks)」です。
問題児は、
- 成長市場なのに他社にシェアで大きく負けている
- お金を生み出さないのに投資が必要
というような事業または製品です。
この問題児は、大きな投資を行ってシェアを高めることができれば「花形」になりますが、市場の成長が止まってしまえば「負け犬」になってしまいます。
ちなみに英語では「Question Marks(ハテナ、クエッションマーク)」と呼ぶことが一般的です。考案したヘンダーソン氏も、Question Marks と呼んでいます(冒頭のリンクを参照)。
なぜ「ハテナ」なのかというと、
- お金をかけても将来どう化けるかわからない
からです。
英語では他にも「Adopted Children(養子)」や「Wild Dogs(ヤマイヌ、狼)」と呼ぶことがあります。
- 養子:育てなければならないが、どう育つかわからない
- ヤマイヌ:餌をやってみても、なつくかどうかわからない
という意味合いです。
どちらも手間暇がかかるけど、将来は確実ではないというニュアンスです。ということで、厳密に言えばそもそも問題児かどうかすらもわからない状態です。
花形(Stars)
左上のエリアは「花形(Stars)」です。
花形は、
- 成長市場で高いシェアを持っている
- お金を生み出すけれど大きな投資も必要
というような事業または製品です。
この花形は、市場の成長が鈍化すると「金のなる木(Cash Cows)」に変化する可能性があります。
大きな市場で高いシェアを持っていれば「規模の経済性」や「経験曲線効果」が働いて、他社より多くの利益を手に入れることができます。
そして他社の追随を上手くかわして、高いシェアを守り抜けば、市場の成長が止まっても利益を産み続ける「金のなる木(Cash Cows)」になることができます。
花形にお金がかかる理由としては、
- 生産効率を上げるために大きな投資が必要
- 他社とのシェア争いに勝つために大きなマーケティング費用が必要
ということなどが挙げられます。
せっかく成長市場で高いシェアを持っていても、市場成長が鈍化するまで守ることができなければ「負け犬(Dogs)」になってしまうかもしれません。
ちなみに英語では「Stars(恒星)」と表現されますが、
- 莫大なエネルギーを消費しながら明るく輝いている
ことに由来しています。
「恒星」は自ら光っている、太陽のような星のことです。なぜ太陽があんなにも輝いているかというと、内部で核融合が起こっているからです。
PPM分析の「Stars(恒星)」の事業や製品も、莫大な資金を消費しながら光り輝いているので、ピッタリの表現と言えますね。