金のなる木(Cash Cows)
左下にあるのが「金のなる木(Cash Cows)」です。
金のなる木は、
- 成熟した市場で高いシェアを持っている
- お金を生み出すのに大きな投資が必要ない
というような事業または製品です。
金のなる木が大きなお金を生み出してくれる理由は、
- 競合他社が撤退して自社の市場シェアがさらに高まる
- 撤退した他社の生産設備を安く手に入れることができる
- 花形の時に生産効率が高くなったので利益の幅が大きくなっている
- 花形の時の投資をすでに回収しているので利益が丸々儲けになる
などです。
逆に言えば、花形のうちに利益の出る体質になっていなければ、あまりお金を生まない「金のなる木」になる可能性もあります。
ちなみに英語での表現は「Cash Cows(金を生む牛)」となります。
イメージとしては「乳牛」で、
- 餌を食べさせるだけでどんどんミルクを出す
という意味です。
乳牛はお金をかけなくても、飼っているだけでお金になるもの(ミルク)を生み出してくれます。(もちろん実際に乳牛を育てるのはお金も手間暇もかかります。ここではあくまでイメージです。)
日本語でも、
- 水をやるだけで木にお金がなる
という意味なので、英語も日本語も同じですね。
負け犬(Dogs)
右下にあるのが「負け犬(Dogs)」です。
負け犬は、
- 成熟した市場で低いシェア
- お金がかからないがお金を生まない
というような事業または製品です。
もともとヘンダーソン氏が「Pets(ペット)」と呼んでいるエリアです。欧米ではペットといえば「犬」というイメージも強いので、ペットが転じて「Dogs(犬)」とも呼ばれることが一般的になりました。
なぜペットなのかというと、
- かかるお金は餌代くらい
- お金は稼いでくれない
ということに由来してます。
このエリアに属する製品や事業は、収支がトントン(損益分岐点あたり)であることが多いようです。
「問題児(Question Marks)」のまま市場成長が鈍化してしまったり、「花形(Stars)」が市場が成熟する前にシェアを落としてしまった場合などに「負け犬(Dogs)」になります。
負け犬になった事業については、
- 撤退して浮いた資金を別の事業や製品に投資する
- 競合に売却して受け取った資金を別の事業や製品に投資する
などの対応が考えられます。
ただし、市場が成熟しているわけではなく、成長期に入る前の導入期である場合は「花形(Stars)」に育つ可能性もあります。
例としては2000年頃の世界的な検索エンジン乱立時代が該当します。当時は米ヤフーが頭一つ抜きんでていて、Googleを含む数多くの検索エンジンは負け犬で団子状態になっていました。しかしその後は、Googleがトップに躍り出て、検索関連事業は花形となりました。