PPM分析:金のなる木で問題児を育てる
もっとも王道のPPM分析パターンは、
- 「金のなる木」事業で生まれた資金を使って「問題児」事業を成長させる
というやり方です。
「金のなる木」事業は、
- 市場シェアが高いため売上高が大きい
- 生産効率が高いため利益を確保しやすい
- すでに設備投資を回収できている
ため、大きな余剰資金を生み出します。
逆に「問題児」事業は、
- 市場シェアが低いため売上高が小さい
- 生産効率が悪いため利益が出にくい
- 市場の成長に合わせて設備投資を行う必要がある
ため、成長するために資金を必要としています。
このような理由から、「金のなる木」事業で生まれた資金を「問題児」事業に投資することで、「問題児」事業を「花形」事業に育て上げることを狙います。
金のなる木を枯らさない
ただし、注意しなければならないのは、「金のなる木」事業をできるだけ長く生かす必要もあるということです。
「金のなる木」事業は追加の設備投資などが必要なくなっているとはいえ、生産設備の維持や市場シェアの維持のために資金が必要です。
それらの資金を残しつつ、余った資金を他の事業に割り当てることが必要です。
金のなる木は他の木の養分を奪う
もう一つのポイントは、太く育った「金のなる木」は、他社の細い「金のなる木」の養分を奪えるということです。
競合他社は、市場シェアが落ちてくると生産効率が下がります。そのため「金のなる木」であっても、あまり利益の生まない状態になってきます。
そういったときに競合他社がどうするかというと、「負け犬」事業になる前の事業売却です。競合他社は、事業が「金のなる木」であるうちに売却してしまえば、大きな資金を手に入れることができます。
もし自社の「金のなる木」が競合他社より強く大きく育っていれば、競合他社に事業の買収を持ちかけることもできます。もちろん買収金額よりも、大きな利益が生み出せることが前提になります。
そうでなければ、他社の「負け犬」に落ちた事業を安く買って、生産能力を高めることもできます。