クロスSWOT分析とは、「SO戦略」「ST戦略」「WO戦略」「WT戦略」の4種類の戦略を生み出すための分析手法です。SWOT分析を行う流れでクロスSWOT分析も一緒に行うことが多いため、「SWOT分析のクロス分析」とも呼ばれます。
1982年にハインツ・ワイリック教授の論文で発表されたこの「クロスSWOT分析」は、
という時に使います。
クロスSWOT分析では、SWOT分析の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの要素を組み合わせて、4つの戦略を生み出すことができます。
- SO戦略 = 強み × 機会 → 強みも機会も最大限に活かす戦略
- WO戦略 = 弱み × 機会 → 弱みを克服してチャンスをつかみ取る戦略
- ST戦略 = 強み × 脅威 → 強みを活かして脅威を回避する戦略
- WT戦略 = 弱み × 脅威 → 弱みや脅威を取り除く戦略
クロスSWOT分析のやり方は、
- SWOTマトリクスの内容を整理する
- TOWSマトリクスにわかりやすく書き写す
- 4つの戦略を洗い出す
- 戦略を決める
です。
ここでは、上記の手順をわかりやすく説明していきます。クロスSWOT分析用テンプレート(パワーポイント形式、登録不要)も無料でダウンロード可能です。
クロスSWOT分析のやり方(簡易版)
クロスSWOT分析は、SWOT分析のステップ4「発想から行動を決める」をより深める方法です。まずは以下のSWOT分析のステップ1〜3を行ってください。

ステップ4から下記の手順を行います。
ここで使うクロスSWOT分析テンプレートは、こちらからダウンロードできます。登録不要でご利用いただけます(メールアドレスなど不要)。
SWOT/クロスSWOT分析用テンプレート(無料:パワーポイント形式)
SWOTマトリクスから、不確かな情報や目標との関連性が低い情報を取り除きましょう。SWOTマトリクスの内容を整理することで、 クロスSWOT分析がやりやすくなります。
SWOTマトリクスの内容が整理できたら、TOWSマトリクスに付箋を張り替えましょう。もし時間に余裕があれば、よりシンプルにわかりやすく書き換えてみてください。
TOWSマトリクスを眺めながら、それぞれの戦略を具体的に考えてみましょう。少し大きめの付箋に書いて、模造紙やホワイトボードに貼り付けていきます。貼り付けられたアイデアが、目標を達成することにつながるのか考えてみましょう。
戦略の選択肢がある程度挙がったら、その中から一番有効なものはどれなのか話し合いましょう。その中から、目標の達成に一番有効な戦略を選んでください。
戦略を選ぶときは個人の好みで選ぶと、揉める原因になります。迷ったときは、会社の理念や将来のビジョン、行動指針などを参考にして、一番「その会社らしい」戦略を選びましょう。

ここからは、SWOT分析のステップ5に続きます。戦略を実行する担当者と期限を決めましょう。
簡易版と本家版クロスSWOT分析の違い
本家版のワイリック教授が考えたクロスSWOT分析は、
- 3つの分析方針から1つ選ぶ
- 4つの戦略の組み合わせの評価にインタラクション・マトリックスを使う
- 動的なTOWS分析で時間の経過による変化も考える
の3つの段階があります。
しかし一般的に普及しているやり方は、上記のどれも行わないシンプルなものです。
簡易版クロスSWOT分析は、
- SWOT分析の強み・弱み・機会・脅威を組み合わせて4つの戦略を作る
ことのみを行います。
ここでは、この簡易版のクロスSWOT分析のやり方をご紹介します。
本家版クロスSWOT分析については、こちらの記事をご覧ください。
クロスSWOT分析の短所とその対応策
このフレームワークの短所は、
- 組み合わせに夢中になって目的(ゴール)や目標を忘れやすい
- どれか1つの戦略に絞らなければならないと思い込んでしまう
- 「何もしない」という選択肢が忘れられやすい
などが挙げられます。
クロスSWOT分析をやっていると、目標と関連性が低いものの「良さそう」で「上手くいきそう」な戦略が見つかることがあります。でもSWOT分析やクロスSWOT分析は、そもそも特定の目標を達成するためにやっていることを忘れてはいけません。それぞれの戦略で、いかに目標を達成するのかを考えるようにしましょう。
複数の戦略は、必ずしも1つに絞る必要はありません。「プランA」「プランB」のような形で、状況に応じて使い分けることもできます。あるいは複数の戦略を、1つの方法で同時に実行できるかもしれません。
また「何もしない(現状維持)」という選択肢があることも忘れないようにしましょう。下手に動くより、ライバルの出方をうかがって行動することもできます。戦略を考えたんだから1つを選ばなければならない、なんてことはありません。
クロスSWOT分析(簡易版)の無料テンプレート
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SWOT/クロスSWOT分析用テンプレート(無料:パワーポイント形式)
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