製品志向(製品コンセプト)
製品志向(製品コンセプト)は、
- 消費者は革新的で特徴のある製品やサービスを求めている
という視点から、
- より高い品質を追い求める
- より高い機能を追い求める
- 製品の改良を重視する
- 革新的な製品を開発する
といったことに経営資源を集中させる考え方です。
このコンセプトは、多くの企業が同じような製品やサービスを提供し始め、競争が激化し始めた時代に生まれました。
生産志向によって社会の需要に対応できるようになれば、今度は品質や機能で他社と競争するようになります。消費者も同じような価格で同じように手に入る製品があれば、より品質の高いものやより機能の高いものを選びます。
そのため企業は製品を改良し、品質や機能を高めることに注力しようと考えます。このような企業主導で製品開発を行う考え方を「プロダクトアウト」と呼びます。
もちろん製品やサービスの質を高め、改良を重ねることは悪いことではありません。しかし製品やサービスの改良が消費者が求めていない領域にまで行ってしまうと、製品志向の悪い側面が現れます。
このことを1960年に指摘したのが、セオドア・レビット教授の論文「Marketing Myopia(マーケティング・マイオピア、近視眼的マーケティング)」です。
マーケティング・マイオピアとは、
- 市場の拡大が確実なものと信じ切ってしまう
- 主要製品に対する代替品が存在しないと考えてしまう
- 大量生産によるコスト優位性に頼り切ってしまう
- 研究開発・製品改善・製造コスト削減に夢中になってしまう
などのことによって、既存製品を中心に考える「製品志向(product-oriented)」に極端に傾倒してしまう状態のことです。