選択ヒューリスティックのモデルは、
- 連結型ヒューリスティック:最低水準をすべて満たす最初の候補を選ぶ
- 辞書編さん型ヒューリスティック:最も重要な属性で最高のものを選ぶ
- 属性排除型ヒューリスティック:重要な属性から消去法で選ぶ
の3つに分類することができます。
これはウォンツの中でも、
- 条件ウォンツ:解決の方向性を選別するための条件
に主眼をおいた購買の意思決定になります。
連結型ヒューリスティック
連結型ヒューリスティックは、消費者が評価しようとしているすべての条件において、最低基準を満たすことができた最初の候補を選ぶ方法です。
例えば消費者がトイレットペーパーを選ぶときに、
- 無地(柄なし)
- シングルロール
- 12ロール以上入っている
- 1ロールあたり50m以上
- 通常価格より値下がりしている
という条件を持っていた場合に、これらの基準をすべてを満たすトイレットペーパーが目に入った瞬間に、買い物かごに入れるのが連結型の選び方です。
この方法では、最初に見つかった時点で購買決定をするので、他にも同等かそれ以上の条件を満たす製品やサービスがあった場合でも、より良いものを探そうとはしません。
辞書編さん型ヒューリスティック
辞書編纂型(じしょへんさんがた)ヒューリスティックでは、消費者自身が知覚することができる最も重要な属性において、一番優れている製品やサービスを選ぶ方法です。
例えば、ある消費者が最も重要視する属性が「色」であり、自分が求める「赤色」に最も近い色の製品だけを選ぶ場合は辞書編纂型に該当します。
もしその消費者がパソコンを買おうとしても、赤色のカラーパターンがないパソコンのモデルは選択肢に入りません。逆にとても気に入った赤色のパソコンがあれば、その製品の性能がどうであれ購入を決めてしまいます。
他にも「ブランド」が判断基準になる消費者も多くいます。「よくわからないから〇〇ブランドの製品を買っておこう」とか「どれもほとんど同じだから〇〇ブランドにしておこう」と考えるのも辞書編纂型ヒューリスティックの選び方です。
属性排除型ヒューリスティック
属性排除型ヒューリスティックは、最も重要な属性や条件から消去法で絞り込んでいく選び方です。
例えば、ある消費者のパソコンに対する選定条件が、
- CPUの性能
- メモリの容量
- 画面の大きさ
という順番で重要だったとします。
その場合、まず最初に「CPUの性能」で消費者の希望を満たせないものはすべて排除します。そして次に、選択肢として残った製品の中から「メモリの容量」の条件を満たせないものを排除します。
もしここで選択肢が1つになっていれば、購買決定になります。逆にまだ複数残っていれば、次の「画面の大きさ」で条件を満たせないものを排除します。
…というように、属性や条件を満たせないものをどんどん排除していって、1つだけ残ったものを買うのが属性排除型ヒューリスティックです。
購買決定をためらう要因
消費者は購買決定の対象を絞り込めたとしても躊躇う(ためらう)ことがあります。
その代表的な購買妨害要因は、
- 他人の態度
- 知覚リスク
の2つです。
他人の態度では、
- 消費者が好きなブランドに対して他人がどれだけ否定的か
- 消費者が他人の意見にどれだけ合わせようとするか
によって購買が阻害される可能性が高まります。
また消費者の知覚リスクでは、
- 機能的リスク:期待した機能が得られない可能性
- 身体的リスク:肉体的に悪い影響がある可能性
- 心理的リスク:精神的に悪い影響がある可能性
- 金銭的リスク:支払った対価と見合わない可能性
- 社会的リスク:利用することで他者に嫌がられる可能性
- 時間的リスク:代わりになるものを探す手間が発生する可能性
といったリスクが購買の決定を妨げます。
つまり、購買決定では消費者本人の意思決定だけでなく、他人の考えや、購買後のリスクの影響も考慮する必要があります。