VRIO分析で出来ること出来ないこと
- 会社の経営資源が戦略に使えるかどうか判断する
- 特定の瞬間をとらえて分析する
- 外部環境をよく理解していない状態で分析を始める
- 業界環境の変化をとらえて分析する
VRIO分析の1問目で「機会」と「脅威」を問われるので、事前に外部環境の分析を行っておく必要があります。その企業にとって「機会」と「脅威」が何なのかが明確であれば、VRIO分析の結果で理解が深まります。
その機会と脅威を知るためには、ファイブフォース分析、PEST分析、SWOT分析などが役立ちます。
また、ある特定の瞬間をとらえた分析になるため、時間の経過と共に経営資源に変化があれば結果も変わります。
VRIO分析の短所と分析のコツ
このフレームワークの短所としては、
- そもそも分析対象の経営資源をどうやって選ぶか悩む
- 1問目に答えるためにPEST分析やSWOT分析をする必要がある
- 2問目で他社が同じ経営資源を持っているかどうかの情報が手に入りにくい
- 経営資源の「組織資本」を判断する場合に4つ目の問いが成立しない
- SWOT分析の「強み」「弱み」と意味が違うのでややこしい
などです。
経営資源は様々なものが存在しているので、どれを分析にかけるかは悩みどころです。コツとしては、現在の戦略で「重要」と認識されている経営資源を、優先的に分析することです。「自社の強み」と思っていても、環境の変化で「弱み」になっていることがあります。
1問目(経済価値の問い)に正確に答えるためには、外部環境の分析が不可欠です。前述したように、VRIO分析を始める前に下準備として、ファイブフォース分析やPEST分析を行なって外部環境を洗い出し、SWOT分析で「機会」と「脅威」に分類しておきましょう。
2問目(希少性の問い)ですが、競合他社がどうなのかを知る必要があります。業界内の噂やネットワークで、ある程度は把握できるかもしれませんが正確な情報は手に入りにくいと思います。わからない部分は推測で進めるしかありません。
4問目(組織の問い)ですが、経営資源の「組織資本」については答えにくいと思います。組織資本に限らず、組織構造などが強く関わる経営資源については、3つ目の模倣困難性の問いまでで十分に判断可能です。
一番ややこしいのは、SWOT分析の「強み」「弱み」とは意味が違うということです。戦略について話し合う場面で、どちらの分析の意味で「強み」「弱み」と言っているのか誤解を招かないように区別しましょう。
以上のコツをまとめると、
- 現在「重要」な経営資源と認識されているものから分析する
- 事前にファイブフォース分析・PEST分析・SWOT分析を行なっておく
- 経営資源の「組織資本」については3問目で終了する
- 「SWOT分析の強み・弱み」と「VRIO分析の強み・弱み」は別物として考える
となります。なかなか難易度の高い分析方法なので、十分に下準備を行いましょう。
もっと詳しく知りたい方は、こちらの本をお勧めします。