スイッチングコストとは?意味と事例をわかりやすく解説

スイッチングコスト

競合他社からのスイッチングを促す方法

最初に説明した通り、スイッチングコストを高める事は囲い込みによる「ロックイン効果」を生み出し、顧客生涯価値(LTV)を高めることができます。

その一方で、顧客にとっては様々な負担が増えるというデメリットもあります。

このような問題を回避しつつも、競合他社から顧客を奪うためには、

  • 金銭的コストと手続きコストを下げる
  • 関係性コストを高める

という2つの施策を同時に行うことが有効です。

金銭的コストと手続きコストを下げる

顧客にスイッチングを促すためには、目に見えて負担がわかる「金銭的コスト」と金銭以外の負担を強いる「手続きコスト」を下げる必要があります。

金銭的コストを下げる方法としては、

  • 試供品
  • サンプル品
  • 体験
  • モニター
  • 入会金の免除
  • 事務手数料の免除

などがあります。「探索コスト」の説明でもご紹介しましたが、金銭的コストも大幅に下げることができます。

また、

  • 実演販売

も同様の効果があります。顧客本人に製品を手渡すわけではありませんが、その製品の効果や機能などを直接見ることができます。

手続きコストを下げる方法としては、

  • 顧客に多くの情報を提供する
  • 顧客に書かせる作業を減らす
  • 顧客が移動する距離を減らす
  • 顧客に覚えてもらう内容を減らす
  • 顧客を待たせる時間を減らす

などが挙げられます。

簡単に言えば、4つの手続きコストの逆を行うことで、手続きコストを減らすことができます。

顧客が事前に知りたい事は、売り手側から十分な情報を提供し、必要な手続きなども極力減らす事で、顧客のストレスは大きく減ります。また実際の製品やサービスを利用してもらう際にも、顧客が覚えなければならないことを減らして、スムーズに価値を提供できれば顧客にとってのメリットにもなります。

関係性コストを高める

ここまで説明したように金銭的コストや手続きコストを減らすだけでは、顧客の競合からの切り替えを促すことができるかもしれませんが、こちらからもすぐに切り替えられてしまう可能性が高まります。

それを避けるためには顧客との良い関係性を築いて、

  • 顧客が自ら望んで切り替えをとどまる

という状況を作ることが適切です。

顧客との接点を増やし、顧客が愛着を持って製品やサービスに触れてもらう機会を増やせば、ブランドに対するロイヤルティが向上します。

このように、単純に全てのスイッチングコストを高めることで顧客を囲い込むだけでなく、スイッチングコストを下げて顧客の負担を減らしながらも、顧客との強固な関係性を作り上げることで、スイッチングを防ぐことが可能になります。

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