CRMの5つのデータベース活用法
CRMでは顧客との接点(タッチポイント)ごとに、いかに情報を集めて活用するかが重要になります。
理想の情報は、個別の顧客に基づいたデータです。タッチポイントによっては、回数だけ、金額だけといったように顧客個人には結びつかない情報もあります。しかしCRMで目指しているのはワン・トゥ・ワン・マーケティングの実現であるため、収集した情報が個々の顧客と結びついている必要があります。
そのような個々の顧客と結びついた情報の収集の代表的な方法として、「フリークエンシープログラム」があります。
フリークエンシープログラムとは、
- 商品やサービスの利用頻度(フリークエンシー)に応じて顧客に特典を与える仕組み
のことで、具体例としては、
- 航空会社のマイレージサービス
- 宿泊施設の宿泊ポイントサービス
- クレジットカードのポイント還元サービス
- 飲食店のスタンプカード
などがあります。そのほかにも一般的な会員カードなども同じような性質を持っています。
これらのようなフリークエンシープログラム利用することで、顧客の個人情報をはじめとして、購買履歴や顧客とのコミュニケーションの記録をデータベースに蓄積することができます。
そしてデータが蓄積されれば、
- 見込み客の特定
- 提案内容の決定
- 顧客ロイヤリティの向上
- 購買の再活性化
- ミスの回避
という形で、データベースを活用することができます。
見込み客の特定
売り手は問い合わせや、サンプル品の申込、営業活動、キャンペーンへの応募やアンケートなどから個人や企業の情報リストを手に入れることができます。
そのリストの中から、ターゲット顧客の特徴に一致するものを探すことで見込み客を特定することができます。
提案内容の決定
見込み客が特定できれば、今度はそれぞれの顧客にあった提案内容を決定します。
電話やダイレクトメールなどで見込み客に直接情報を届け、反応があった見込み客にさらなる情報提供を行います。
この際に有効なマーケティング手法として、
- アップセル:顧客に上位の商品をすすめること
- クロスセル:顧客に関連する商品をすすめること
があります。
その特定の見込み客の情報だけでなく、過去の顧客の購買行動から割り出した適切な提案内容で、客単価を高めることができます。
顧客ロイヤリティの向上
顧客には一回利用してもらえたら終わりではありません。
顧客に何度も繰り返して利用してもらうことで、顧客ロイヤリティの向上につなげます。
具体的には、
- クーポン券や割引券などで繰り返し購入を促す
- 友人や知人に伝えたくなるような話題や情報を提供する
- イベントなどに招待して売り手との関係性を構築させる
などが挙げられます。
購買の再活性化
顧客ロイヤリティが一時的に向上したとしても、時間の経過や環境の変化などによって低下することもよくあります。そういった場合には、それぞれの顧客に適した形で購買を再活性化させなければなりません。
購買を再活性化させる必要のある顧客を見つける手法として「RFM分析」があります。
RFM分析とは、
- Recency(リーセンシー):新近性
- Frequency(フリークエンシー):頻度
- Monetary amount(マネタリー・アマウント):金額
の3つの要素で顧客の分析を行い、
- 新規客:最近利用しているが利用頻度が低い顧客
- 常連客:最近も利用しているし利用頻度が高い顧客
- 離反客:昔はよく利用していたが最近は見かけない顧客
- 一時客:利用頻度が低く最近は見かけない顧客
という4つのタイプに顧客を分類する分析方法です。
購買の活性化では、直近に製品やサービスの利用がない親近性の落ちている「離反客」や「一時客」に対してアプローチすることが必要です。
ミスの回避
顧客のデータベースはミスの回避にも活用することができます。
例えば顧客の家族構成をデータベースに登録しておけば、独身の顧客に対してファミリー向けの提案をしてしまうことを避けられます。また過去のクレーム内容と対応内容を記録しておけば、担当者が変わるたびに対応が違ってしまうことを避けることができます。
このようにタッチポイントごとに顧客のデータを記録しておくことで、顧客を落胆させたり失望させたりするようなミスを防ぐ可能性が高まります。