精緻化見込みモデル:中心的ルート(論理的関与)
精緻化見込みモデルの中心的ルート(論理的関与)による説得は、消費者に論理的な情報を提供して合理的な判断を促します。
しかし消費者に情報を与えれば、勝手に合理的に判断してくれるわけではありません。
消費者が中心的ルートによる説得に応じるためには、
- 動機:消費者が製品やサービスを詳細に評価したいと思っている
- 能力:消費者が製品やサービスを評価するために十分な知識を持っている
- 機会:消費者に製品やサービスを評価するための十分な時間がある
の3つの条件が必要とされています。もしこの3つの条件が一つでも欠けていれば、消費者が周辺的ルートだけで判断しようとする可能性が大きく高まります。
つまり、消費者に対して論理的に製品やサービスを説明しようとする場合は、
- そもそも消費者がその製品やサービスを検討しようと思っていて
- 消費者がある程度その製品やサービスのことを知っていて
- 消費者自身の知識と与えられた情報で検討するための時間がある
ことが必要です。
これを消費者の情報収集の側面から考えると、
- 製品やサービスを評価するために内部探索がある程度できる
- 製品やサービスの情報を外部探索しようとする姿勢と時間がある
とも言えます。
また消費者と製品やサービスの結びつきの強さである「関与度」が高ければ高いほど、評価したいという動機と、評価するための十分な知識を持っている可能性が高まります。
だいぞう
これは客側(自分)が上記の3つの条件に当てはまっていないからなんです。
ここでは具体例として家電量販店でのパソコンの購入で考えてみましょう。
もし顧客にパソコンの性能や機能の詳細を伝えて説得しようと思うのであれば、
- 顧客が複数のパソコンを比べて買おうとしている
- 顧客がパソコンの機能や性能について最低限の知識がある
- 顧客が急いでいない
ということが条件になります。
だいぞう
- 相手がこちらに興味を持ってくれているか?
- 相手に商品知識があるか(事前に商品をチェックしてくれてるか)?
- 相手が急いでいないか(後ろに予定が入っていないか)?
を見極めてから、営業スタイルを決めましょう。
ちなみに飛び込み営業が成功しにくい理由は、どの条件も揃わないから。結果、双方にとって非効率になることがほとんどです。
パソコン売り場に来た顧客が、
- 複数のパソコンの性能や機能の一覧表をじっくりと見比べている
のであれば、3つの条件が揃っている可能性は高いと判断できます。そこで店員が声をかけて性能や機能について詳しい情報を顧客に与えれば、中心的ルートで購買を促すことができます。
しかし全ての消費者が3つの条件を揃えて売り場に来るわけではありません。
- そもそも製品やサービスに対して興味がない
- 製品やサービスに関する知識が全くない
- 製品やサービスを検討する時間がない
という消費者も多く存在します。
そういった顧客をその気にさせるのが、次に紹介する「周辺的ルート(感情的関与)」を使った説得です。