セグメンテーションのメリット・デメリット
セグメンテーション(市場細分化)を行うことのメリットとデメリットはそれぞれ、
- メリット:マーケティング活動の効果を高めやすくなる
- デメリット:マーケティング活動のコストも増加する
です。
これらを一言で言い表すと、
- 手間はかかるけど成果は出しやすくなる
ということです。
先ほどのコカコーラの例であれば、「192mlのビン入りコーラ」は市場のほとんどの消費者に受け入れられるかもしれませんが、細かいニーズやウォンツに対応できているとは言えません。
例えば、
- 自宅での食事の際に炭酸飲料を飲みたい
という消費者のニーズがあったとしても「192mlのビン入りコーラ」だけでは冷蔵庫の中で場所をとるし、キッチンでの空き瓶の処理も面倒になります。
この問題を解決するためには、上記のニーズを持つ市場セグメントに対してマーケティング活動を行うことが必要になります。
つまりマーケティングの4P(代表的な4要素、マーケティングミックス)で表現すれば、
- Product(製品):軽量な缶またはPETボトル容器を採用
- Price(価格):コストを抑えて毎日飲める価格に設定
- Place(流通):食料品店の店頭に置いて食材と一緒に買える
- Promotion(広告):家庭の食事に合うことを訴求
というマーケティング活動が必要とされます。
その結果、「自宅の食事の際に飲みたい」というニーズに対して、マーケティング費用は以前よりも多くかかったものの、消費者により高い付加価値を提供したことでマーケティング活動の効果が高まりました。
このように、セグメンテーションを行うことで、特定のニーズやウォンツを持つ消費者に対して、
- 適正な製品設計
- 適正な値段
- 適正な流通チャネル
- 適正な価値の訴求
を行うことで、より高い満足度を与えることができます。
セグメンテーションとターゲティングの違い
セグメンテーション(市場細分化)とターゲティングは、
- セグメンテーション:共通するニーズやウォンツを意識して市場を細分化する
- ターゲティング:標的とする市場セグメント(細分化された市場)を選択する
という違いがあります。
ターゲティングは「マーケティングのSTP(エス・ティー・ピー)」の2つ目のステップであり、セグメンテーションの後に行います。
ターゲティングでは、セグメンテーションが適切に行われているか確認をしながら、標的とする市場セグメントの選定を行います。
ターゲティング戦略としては、コトラー教授の3つのターゲティング戦略や、
エーベル教授の5つのターゲティング戦略などが有名です。
解決すべきニーズやウォンツが存在しない市場セグメントは、ターゲット(標的)として選ぶ必要はありません。また、ニーズやウォンツが存在していても、すべての市場セグメントに対応する必要はありません。
なぜなら、ほとんどの会社の経営資源は限られているからです。ターゲティングを行う際には、標的とする市場セグメントに明確なニーズやウォンツが存在するのはもちろんのこと、選択した市場セグメントの中でも順位付けを行います。
一方で、標的とする市場セグメントのニーズやウォンツがしっくりこなければ、セグメンテーションに失敗している可能性があります。
そんな時は、もう一度別の切り口からセグメンテーションを行いましょう。
…ということで、次のページではセグメンテーションの切り口を考える時に参考になる変数を一覧にまとめてみました。