経営理念(ミッション・ビジョン・バリュー)の必要性
経営理念の必要性については「従業員規模」と「経営環境」で考えることができます。
上の図の横軸は、経営において「ミッション」「ビジョン」「バリュー」「ビジネス」の4つの要素がどれくらい重要になるかの割合を表した図です。概念的なものなので、正確に何パーセントというわけではありません。
縦軸は2種類あります。「従業員規模」の軸は、上に行くほど従業員数が多い企業になります。「経営環境」の軸は、上に行くほど経営を取り巻く環境が見通せない状態を表しています。この左右の軸を繋いだ中心を見れば、経営理念がどの程度必要なのかの目安を知ることができます。
従業員規模が大きいと、
- 経営者と従業員の接点が減って社会的使命や情熱などが共有できなくなる
- 全員がそれぞれ違った会社の将来像を描くために社内で対立が起こる
- 従業員の価値観がバラバラで会社としての行動に一貫性がなくなる
ことなどが考えられます。その結果、経営陣と現場の考え方の違いから経営戦略が機能しなかったり、社員がモチベーションを維持できなくなって離職したりなど、様々な問題が起こりやすくなります。
経営環境の不確実性が高いと、
- 社会的使命より今目の前の問題に必死になって重要な将来に関わる意思決定がしにくくなる
- 会社がどこに向かっているのか不明瞭になって経営資源が分散してしまう
- 現場での対応のバラツキが大きくなって顧客からの信頼を失う
ことなどが考えられます。その結果、経営環境の変化に全員が振り回されて、経営がうまく立ち行かなくなることがあります。
例えば同業他社と比べて従業員数がかなり多いけど、需要の変化など経営を取り巻く環境が予測しやすい場合は、下図のようになります。この場合の経営理念の必要性は中程度です。
もしあなたの会社にどんどん人が増えていて、IT業界など先が読みにくい業界にいる場合は、下図のようになります。経営理念の必要性はかなり高めです。
このように、経営理念の必要性を事前に参考にしてみてください。もちろん従業員数が少なくても、経営環境が安定していても、経営理念が明確であるに越したことはありません。
経営理念のMVVB分析で出来ること出来ないこと
- 今やっている事業(ビジネス)を元に経営理念を作ること
- 既存の経営理念に一貫性があるかどうか確認すること
- 経営理念を浸透させる方法を考えること
MVVB分析では、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」「ビジネス」のどこを起点にしても、経営理念を作ることができます。そのため現在、経営理念がなかったとしても問題ありません。またすでに経営理念が策定されていても、それが現在の事業も合わせて整合性が取れているかを確認することもできます。一方で経営理念が決まったとしても、それを社内でどのように浸透させるかはこの分析からは判断できません。
有名な企業の経営理念
有名な企業の経営理念(=企業理念)を、別の記事で一覧にまとめてみました。
実際にミッション・ビジョン・バリューにどんなものがあるか確認してみましょう。
経営理念の作り方の無料テンプレート
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- MVVBマトリクス
- 経営理念の必要性の図
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