潜在ニーズ
潜在ニーズとは、消費者自身が物事を「あたりまえ」と思っている状態で、必要性自体が顕在化(ハッキリ)していない状態のことです。
この「潜在ニーズ」はマーケティング活動によって、「顕在ニーズ」へと変化させることが一般的です。しかし革新的な商品やサービスでは一気に「デマンド」にまで変化することがあります。
つまり潜在ニーズで考えなければならないのは、
- 潜在ニーズの顕在化
- 直接的なデマンド化
の2つになります。
潜在ニーズの顕在化(けんざいか)
潜在ニーズは消費者自身が自覚していないため、そのままでは製品やサービスを欲しいと感じる「ウォンツ(欲求)」に変化させることは難しくなります。
そのため、潜在的なニーズがあるかどうかは、マーケティングリサーチ(マーケティング調査)によって明らかにする必要があります。
そして明らかになった潜在ニーズを「顕在ニーズ」に変化させることで「ウォンツ」との間を繋ぎます。
潜在ニーズを知るためのマーケティングリサーチ(調査)の方法は、
- 質問法:調査対象に質問することで情報を集める
- 観察法:調査対象の行動や反応を観察することで情報を集める
- 実験法:実験によって特定の因果関係を調べる
- フォーカスグループ:調査対象を数人集めて討論させて情報を引き出す
- 行動データ:調査対象の購買記録や行動に関する情報を集める
の5つのタイプに分けることができます。
ただし、潜在ニーズは消費者自身が自覚していないので、消費者が自ら答える「質問法」や「フォーカスグループ」だけでは発見することが難しいかもしれません。
逆に、「観察法」「実験法」「行動データ」などで客観的に消費者を観察し、分析結果から潜在ニーズを突き止める方が効果的です。
今度は発見した潜在ニーズを、顕在ニーズに変化させる必要があります。
例えば、寝具メーカーがマーケティング調査を行った結果、
- ターゲット層に朝の体のだるさを自覚していない消費者が多い
ということがわかったとします。
この潜在ニーズを顕在化させるためには、
- 潜在ニーズ:消費者「朝起きて体がだるいのは当たり前」
- マーケティング活動:企業「朝起きて体がだるいのは睡眠環境に問題があるかも」
- 顕在ニーズ:消費者「自分は睡眠環境を改善する必要性がある!」
という流れで、顕在ニーズに変化させることができます。
直接的なデマンド化
潜在ニーズは、消費者が特定の製品やサービスの購入に至る「デマンド」に直接変化することもあります。
これは厳密に言えば、「潜在ニーズ → 顕在ニーズ → ウォンツ → デマンド」への変化が一瞬で起こった状態のことです。
消費の現場では、
- 「なにこれ?良さそう!買おう!」
というように、消費者がニーズを自覚していなかった状態から、直感で購買決定まで到達することも起こります。
例えば、
- 潜在ニーズ:消費者「部屋の掃除は自分でするのが当たり前」
- マーケティング活動:企業「ロボット掃除機『〇〇』なら外出中に部屋の掃除が終わります!」
- デマンド:消費者「なにこれすごい!ロボット掃除機『〇〇』を買おう!」
という場合です。(もちろんすべての消費者が同じようになるわけではありません。)
家庭用のロボット掃除機が登場する前は、消費者が自分自身で部屋のゴミを掃除機で吸い取るのが当たり前でした。部屋が汚れてくれば「掃除をしなきゃ」という顕在ニーズが現れます。それを解決するのが、通常の掃除機であったり、清掃サービスだったりします。
しかし「ロボット掃除機」は、それまでの消費者が考えていた「人が掃除をする」という前提を覆すことで、「顕在ニーズ → ウォンツ → デマンド」という流れを一瞬で飛び越える状況を生み出します。