潜在ニーズと顕在ニーズの活用
潜在ニーズや顕在ニーズを上手く活用すれば、競合他社を出し抜くことも可能になります。
その方法は、
- 潜在ニーズの再確認による新たなビジネスチャンスの発見
- 既存の顕在ニーズの拡張と軸の移動
などが挙げられます。
潜在ニーズの再認識で新たなビジネスチャンスを見つける
すでに顕在化されているニーズに対応することは、マーケターにとってそれほど難しいことではありません。
「困ったなぁ」「こうなればいいのになぁ」といった消費者の声に耳を傾ければ、顕在ニーズをウォンツに導き、最終的には特定の製品やサービスのデマンドに結びつけることができます。
しかしそれは競合他社も同じです。
顕在ニーズに対応した製品やサービスが市場にあふれると、最終的には差別化が難しくなり価格競争に陥ります。こういったことを避けるためには、顕在ニーズの手前に存在している潜在ニーズを再確認して別の顕在ニーズを導き出して、新たなビジネスチャンスを見つけることが必要になります。
これは先ほどご紹介した「ニーズの再顕在化」と仕組みは同じです。違いは同じ企業が同じニーズに対して、何度も顕在化を試みるという点です。
新しいビジネスチャンスを見つけるためには、ニーズを再び顕在化させるときに、
- 競合他社の対応が不十分なニーズを顕在化させる
- 新たな顕在ニーズに対応した製品やサービスを開発する
ことが必要です。
消費者が持っている悩みや困りごと(潜在ニーズ)に対して、従来とは別の角度からニーズを再定義する(顕在化する)だけでなく、ニーズを満たせるウォンツを提示することで、新しいビジネスを生み出すことができるかもしれません。
ここで参考になるのが「マーケットイン」という製品開発の手法です。
マーケットインとは、
- 消費者のニーズやウォンツを起点にマーケティングを行う方法
のことです。
元々の潜在ニーズと、新たに顕在化させるニーズを起点とすることで、競合他社の対応が不十分な切り口から製品やサービスを開発することができます。
その場合に活用したいのが「コア・コンピタンス」と「ケイパビリティ」です。
それぞれ、
- コア・コンピタンス:中核になる「技術」
- ケイパビリティ:連携による「実行力」
のことです。
コアコンピタンスを利用することで、より高いレベルの製品やサービスを開発でき、競合他社に模倣される(真似される)可能性を下げることができます。
またケイパビリティも同様に、社内外のスムーズな連携によって新製品のマーケティングを実行し、消費者の手元にいち早く届けることで、新しい市場のシェアの獲得に良い影響を与えることができます。
これらについて詳しい情報は、下記の記事も参考にしてください。
既存の顕在ニーズを拡張する・軸をずらす
既存の顕在ニーズを活用して競合他社を出し抜くためには、
- 顕在ニーズを拡張する
- 顕在ニーズの軸をずらす
ということが考えられます。
例えば先ほどの例のように、
- 顕在ニーズ:消費者「自分は睡眠環境を改善する必要性がある!」
という顕在化されているニーズがあれば、多くの企業は「睡眠環境」の改善に関する製品やサービスを開発するはずです。
しかしここで少し曖昧なのは、
- 「睡眠環境」が何を指しているのか?
ということです。
多くの人のイメージでは、
- 睡眠環境 = ベッド・枕・布団などの寝具
と考えるかもしれません。
しかしこの認識を拡張することもできます。
もし、
- 睡眠環境 = 寝具・部屋の温度や湿度・部屋の明るさ
などとさらに広くとらえると、市場が大きくなります。
そうなれば寝具だけでなく、エアコン、冷暖房器具、照明器具などの家電も顕在ニーズに対応できる製品になります。
これに当てはまる実際の事例が、SWITCHBOT株式会社の「SwitchBotカーテン 」という製品です。
この「SwitchBotカーテン」という製品は、
- 潜在ニーズ:消費者「朝起きて体がだるいのは当たり前」
- 顕在ニーズ:消費者「自分は睡眠環境を改善する必要性がある!」
というニーズに対して、
- カーテンの開け閉めを自動で行って部屋の明るさをコントロールする製品
で対応しています。
このように、既存の顕在ニーズに十分対応できていると多くの人が考えていたとしても、顕在ニーズの定義範囲を拡張し、他社と違う軸で顕在ニーズを見つめることで、新たなビジネスチャンスを見つけることができるかもしれません。