RFM分析のマーケティング施策への活用
RFMのバブルチャートによって、顧客を4つのタイプに分類できたら、今度はそれぞれのタイプにおいてどのようにLTV(ライフタイムバリュー)を向上させるかを考えます。
一般的には、
- 新規客を常連客に育てる
- 離反客を常連客に戻す
- 一時客に再来店を促す
- アップセルやクロスセルを実施する
の4つの基本的なマーケティング施策を考えることができます。
新規客を常連客に育てる
製品やサービスを利用してくれた新規客を常連客に引き上げるには、
- 再び同じ製品やサービスを利用する理由を作る
が必要になります。
具体的な施策としては、
- 繰り返し利用が前提の製品やサービスとして設計する
- フリークエンシープログラムを採用する
などが考えられます。
例えば、本体価格が安く消耗品の価格が高い髭剃りやプリンターなどは、繰り返し購入を前提とした設計の製品です。また一定の期間や回数を超えなければ効果が得られにくい、ダイエットプログラム、エステ、サプリメント、英会話、スポーツジム、なども同様に繰り返しが前提になっています。他にも洗剤やシャンプーの詰め替え用商品も、繰り返し購入を促す製品設計になっています。
また製品やサービス単位ではなく、店舗やブランド単位での利用頻度の向上を目指す場合は、フリークエンシープログラムが有効です。
フリークエンシープログラムとは、
- 商品やサービスの利用頻度に応じて顧客に特典を与える仕組み
であり、
- 航空会社のマイレージプログラム
- ポイントカードによるキャッシュバック
- スタンプカードによる特典提供
などが該当します。このような施策を行うことで、顧客の利用頻度を高めることができます。
離反客を常連客に戻す
一度離れてしまった顧客を元に戻すのは難しいですが、そのまま放っておくこともできません。
離反客を常連客に戻すためには、
- 離反した理由を突き止める
ことが重要です。
離反してしまう一般的な理由としては、
- 製品やサービスに不満がある
- 競合他社の製品やサービスの方が優れている
- 顧客のライフスタイル変化で不要になった
などが考えられます。
特に上の2つについては事業を進めるにあたって致命的なので、早急に調査(マーケティングリサーチ)を実施する必要があります。
マーケティングリサーチには、
- 質問法:調査対象に質問することで情報を集める
- 観察法:調査対象の行動や反応を観察することで情報を集める
- 実験法:実験によって特定の因果関係を調べる
- フォーカスグループ:調査対象を数人集めて討論させて情報を引き出す
- 行動データ:調査対象の購買記録や行動に関する情報を集める
などの方法があるので、製品やサービスの性質に合わせて適切な方法を選ぶ必要があります。
一時客に再来店を促す
一度は新規客として製品やサービスを利用してもらったものの、そのあとが続いていない一時客には、
- 再び製品やサービスを利用するためのキッカケを作る
ことが必要になります。
この「キッカケ作り」には、
- イベントへの招待
- ダイレクトメール
- 電話での営業
などなど様々な手法がありますが、そもそも、
- 顧客への連絡手段
を確保していなければ実現が難しくなります。
そのため、いかに最初の段階で顧客への連絡手段を確保するか考えなければなりません。
例えば、先ほど紹介したフリークエンシープログラムへの登録などは、顧客にとっても心理的ハードルが比較的低い手法です。他にも、スマートフォンのアプリの登録なども、顧客との連絡手段を確保するために有効です。
アップセルやクロスセルを実施する
ここまで4つの顧客タイプの状態を変化させる施策を紹介しましたが、全ての顧客タイプに適用できるのが「金額」を高めるためのマーケティング施策です。
具体的な手法としては、
- アップセル:顧客に上位の商品をすすめること
- クロスセル:顧客に関連する商品をすすめること
などがあります。
これをうまく実現するには、
- 累計金額の大きい顧客の購買履歴を分析する
ことが必要です。
累計金額が大きい顧客の購買履歴を確認すれば、
- どんな製品やサービスを合わせ買いしているのか
- どんな製品やサービスの利用が上位商品の利用につながるのか
などが見えてきます。
それらの情報を参考に、購買金額の低い顧客に対してアプローチをすれば、アップセルやクロスセルが成功する可能性が高くなります。
RFM分析のExcel用無料テンプレート
今回の例で使用したRFM分析のエクセルテンプレートは、こちらからダウンロードできます。もちろん登録不要でご利用いただけます(メールアドレスなど不要)。
- RFM分析用テンプレート
が収録されています。