顧客満足度調査のやり方
顧客満足の度合いである「顧客満足度」は、顧客に対して「質問法」によるマーケティングリサーチで「定量データ」を収集することで行います。
一般的に多いのは、
- 顧客満足度アンケート調査
です。
顧客へのアンケート調査では、先ほどのSERVQUAL基準に該当する内容に関して5段階評価を行ってもらいます。
例えば、
- 質問:スタッフの対応はいかがでしたか?
- 評価:とても不満 (1) – やや不満 (2) – どちらでもない (3) – やや満足 (4) – とても満足 (5)
という質問をいくつか用意して顧客に回答してもらいます。
ただし、このようなアンケートを答えるのは面倒な作業なので、なかなか顧客に答えてもらえません。そのためアンケートに答えることで、割引券がもらえるなどのインセンティブ(誘引要素)を用意することも必要です。
顧客満足度の指標:満足度インパクト分析
実は顧客満足度アンケートで「不満」が多かった項目を改善するだけでは、顧客満足度が改善しないことがあります。
なぜなら、
- 顧客が不満に思っていることが顧客にとって重要かどうかわからない
- 重要じゃないことを改善してもサービス品質への影響が小さい
からです。そのため「顧客にとっての重要度」も知る必要があります。
これを解決するのが満足度インパクト分析です。(「ゼミナール マーケティング入門 第2版 」p411を参照)
満足度インパクト分析では、
- 満足度(パフォーマンス)
- 重要度(インパクト)
を同時に調査します。
例えば、
- 質問:スタッフの対応はいかがでしたか?
- 評価:とても不満 (1) – やや不満 (2) – どちらでもない (3) – やや満足 (4) – とても満足 (5)
- 質問:スタッフの対応はあなたにとって重要ですか?
- 評価:まったく重要ではない (1) – あまり重要ではない (2) – どちらでもない (3) – やや重要 (4) – とても重要 (5)
というように、1つの項目に対して満足度と重要度をセットで質問します。
そして質問ごとに満足度と重要度の平均値を集計し、散布図でグラフを作れば下図のように分析することができます。
なお満足度インパクト分析のエクセルテンプレートは、こちらからダウンロードいただけます。
ここで紹介した方法以外にも、「重要度(インパクト)」を「期待度」に置き換えて分析する「満足度期待度分析」というものもあります。
「満足度期待度分析」では重要度の問いだった部分を、
- 質問:スタッフの対応に対してどれくらい期待していましたか?
- 評価:まったく期待していなかった (1) – あまり期待していなかった (2) – どちらでもない (3) – やや期待していた (4) – とても期待していた (5)
という期待度に関する問いに変更します。
「満足度期待度分析」では、顧客が製品やサービスを利用する前のプロモーション活動などで、顧客の期待値がどれくらい高まったかを推測し、さらに製品やサービスを利用した後とのギャップを分析することができます。
サービス品質の決定要素に基づいた質問をする
満足度インパクト分析のためのアンケート項目では、先ほどの顧客満足度アンケート調査と同様に、
- サービス品質の5つの決定要素
について質問してみましょう。
SERVQUAL基準では22項目ありますが、すべてについて質問する必要はありません。満足度インパクト分析のアンケート調査項目は、単純な顧客満足度アンケート調査の項目より質問数が2倍になってしまいます。
そのため、
- サービスや製品の一番の価値と考えている事柄
- 顧客からクレームが挙がっている内容
を中心に、5つの決定要素を少なくとも1つずつカバーする形で質問を絞り込んでみてください。
質問する項目数も、5〜10項目(10〜20問)程度の方が、アンケートに答えてもらいやすいと思います。
顧客ニーズごとに集計する
もう一つ重要なのは、「顧客ニーズ」ごとに調査結果を集計するということです。
例えば平日のファミリーレストランには様々なニーズを持った客が訪れます。
- 仕事の合間に昼食を食べるために立ち寄ったサラリーマン
- 仕事の打ち合わせ場所として利用している顧客
- 学校帰りの暇つぶしに店に寄った学生達
- 勉強をするために混雑しない時間にゆっくりと利用する社会人
- 複数の友人と雑談をするために立ち寄った高齢者
などなど、顧客のグループは多岐に渡ります。
そしてそれぞれの顧客グループごとに「重要に感じること」が異なります。
例えば、仕事中にファミレスに立ち寄ったサラリーマンは、「安く」「早く」食事ができることが重要かもしれません。雑談に立ち寄った高齢者は、食事が早く出てくるよりも、スタッフの接客態度を気にするかもしれません。
しかし違うニーズを持っている顧客グループを、1つに集計して平均値を出してしまうと、集計結果が意味のないものになってしまいます。
そのため、
- メインターゲットとする顧客を優先してアンケートを採る
- 複数の顧客層から採ったアンケート結果は分けて集計する
ことを心がけることが重要です。