セグメントマーケティングの対極と究極
セグメンテーションを行うマーケティング(セグメント・マーケティング)の対極にあるのが、
- マス・マーケティング
つまり、セグメンテーションを行わないマーケティングです。
他方、市場セグメントを個々の顧客まで細かくしたものが、
- One to One (ワントゥワン)マーケティング
です。
セグメンテーションの対極にあるマスマーケティング
マスマーケティングは、市場を細分化せずに市場全体に対してアプローチする方法です。
代表的な例として、発売当初の、
- コカ・コーラ
- iPhone
などがあります。
コカコーラは、今でこそ様々な風味やサイズが存在していますが、1886年に世の中に初めて登場した時は「192mlのビン入りコーラ」しか存在しませんでした。
初期のマーケティングでは、この1種類しかないコーラを大量に生産し、老若男女問わず市場全体にアプローチしています。
もう一つの例がiPhoneです。iPhoneも今では様々な色やサイズが存在していますが、2007年に世の中に初めて登場した「iPhone」は、色もシルバーのみ、容量は2GBと4GBの2種類だけでした。
アップル社はこのiPhoneで、新しく産まれようとしていた「スマートフォン市場」全体にアプローチを行いました。
世の中に登場した革新的な製品は、最初は市場自体が存在していなかったり、とても小さかったりするため、セグメンテーション(市場細分化)をせずにマスマーケティングを行うことがほとんどです。
一方で市場が大きく成長してくると、マスマーケティングからセグメントマーケティングに移行します。
市場が大きくなると、消費者の持つニーズやウォンツも多様化します。そして、そのニーズやウォンツに的確に対応するためには、セグメンテーション(市場細分化)を行って対応すべき市場セグメントから優先的にアプローチすることになります。
その結果として、コカコーラもiPhoneも、今では様々な種類が存在しているのです。
ちなみにiPhoneは、色やサイズや機能といった物理的なバリエーションを増やすことだけがセグメント対応ではありませんでした。
iPhoneは「App Store」というアプリケーションが生み出されるエコシステムを組み合わせたことで、それぞれの消費者が自分のニーズに合わせたアプリをインストールし、自動的に無限にセグメント対応が行われる環境を作りました。
その結果、爆発的な普及につながったのです。
ワントゥワンマーケティングは究極のセグメンテーション
他方、「セグメント・マーケティング」の究極形となるのが、
- One to One (ワントゥワン)マーケティング
です。
ワントゥワンマーケティングでは、市場セグメントよりさらに小さな「ニーズグループ」という単位で対応を行います。
セグメントマーケティングでも、同様にニーズやウォンツの似通っている消費者にアプローチを行いますが、ワントゥワンマーケティングではさらに小さなグループに対応するイメージです。
ワントゥワンマーケティングでは、
- 顧客の持つニーズごとのグループ分け
- グループ内の顧客をLTV(顧客生涯価値)などによる優先順位づけ
- 優先度の高い顧客との関係性を強化
- 優先度の高い顧客に個別のマーケティング
などを行います。
個々の顧客のニーズに的確に対応できるため、セグメンテーションの究極形とも言われます。しかし万能ではありません。
その理由は、セグメンテーションのメリットとデメリットにあります。