MECEを使った分析フレームワーク 10選

MECEフレームワーク

複数タイプのMECEを持つフレームワーク

フレームワークの中には、複数のタイプのMECEを組み合わせて作られているものもあります。

コトラーの競争戦略4類型

コトラーの競争地位4類型は、業界内のそれぞれの企業のポジションを「リーダー」「チャレンジャー」「フォロワー」「ニッチャー」の4つに分類するフレームワークです。

コトラーの競争地位4類型

このフレームワークは一見すると、

  • 高い vs 低い
  • 多い vs 少ない

の二項対立だけのように見えますが、実は市場シェアという尺度を目安にして分類されています。

例えば「マーケット・リーダー」は、経営資源の質が高く量も多い企業が全て含まれるわけではなく、市場シェアがトップである1社のみを指します。他のプレイヤーも、基本的には市場シェアで分類を行います。

そのため「尺度」がメインで、補助的に「二項対立」を使ったMECEのフレームワークということになります。

バリューチェーン(価値連鎖)

バリューチェーンとは、顧客に価値を提供するための一連の「活動」を表したフレームワークです。

先ほどご紹介した「バリューチェーン分析」はプロセスのMECEでしたが、そのベースになったフレームワーク自体は3つのタイプのMECEで構成されています。

バリューチェーン

使われているMECEのタイプは、

  • 主活動:プロセス
  • 支援活動:類似性
  • マージン = 総価値 ー 総コスト:分割

になります。

MECEになっていないフレームワーク

実はすべてのフレームワークがMECEを満たしているわけではありません。

もちろんMECEじゃないからといって、ダメなわけでもありません。しかし、モレやダブりが存在しているというフレームワークの「限界」を知っていれば、より上手く使いこなすことができます。

ここでは先ほどの、

  • 因果関係:同じ結果をもたらす複数の原因を探す
  • 類似性:共通の特徴を見つけてグループ化する
  • 二項対立:互いに反する概念で2つに分ける
  • 分割:全体を境界線で3つ以上に分割する
  • 尺度:直線上に並んでいるものを任意の点で区切る
  • プロセス:物事が起きる一連の流れを見つける
  • 因数分解:出来事を掛け算の数式に変換する

の、いずれにも当てはまらないようなフレームワークを挙げていきます。

3C分析

3C分析とは、「顧客(Customer)」「自社(Corporation)」「競合(Competitor)」の3つの視点でマーケティング環境を分析したり、KSF(重要成功要因)から戦略を策定したりするためのフレームワークです。

3C分析

 

「顧客」「自社」「競合」は共通の因果関係はないですし、それぞれの類似性も低く、この3つで市場の全体を表しているわけではないのでモレがあり、顧客と競合は場合によってダブる可能性もあります。

そのため3C分析のフレームワークは、7つのMECEパターンのどれにも当てはまらないと言えます。

逆に言えば、枠にはまらない柔軟に解釈できるフレームワークなので、多くのコンサルタントが自分流にアレンジをして使っています。

PEST分析

PEST分析は、外部環境を「政治的要因」「経済的要因」「社会的要因」「技術的要因」の4つから、自分たちのビジネスに影響がありそうな出来事を分析するためのフレームワークです。

PEST分析

一見、「外部環境」という類似性で綺麗にまとまっているようにも見えますが、モレが存在しているため「法的要因」「環境的要因」を加えた「PESTLE分析」なども普及しました。

また政治と経済は区別するのが難しい内容もあり、ダブりが避けにくいフレームワークです。

ポーターの3つの基本戦略

ポーターの3つの基本戦略は、「戦略的ターゲット」と「戦略的優位性」の2つの軸から、「コスト・リーダーシップ戦略」「差別化戦略」「コスト集中戦略」「差別化集中戦略」の4つの戦略が導き出すフレームワークです。

ポーターの3つの基本戦略

フレームワークを見てみると、

  • 全体 vs 特定

は二項対立のようですが、

  • 顧客が認める特異性
  • 低コスト地位

についてはMECEになっていません。

実際に、考案したポーター氏も「顧客が認める特異性」と「低コスト地位」を同時に満たす戦略が存在していることを後に認め、ダブりがあることがわかりました。

おすすめの書籍

MECEの考え方は、1973年に発売されたバーバラ・ミント氏の著書から広まりました。その本は「新版 考える技術・書く技術(原題:The Minto Pyramid Principle、ミントのピラミッド原則)」として、今でも定番のビジネス書として読まれています。

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社会人として「情報を整理して伝える」という基本的な技術を身につけるために最適な本なので、ぜひ書店で見つけたら手にとってみてください。

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