顧客ロイヤリティを計測する方法
顧客ロイヤリティは実際に測らない限り、マーケティング施策に生かすことができません。
自社に対してどれくらいの顧客がロイヤリティを持っているのか、そして自社のどのブランドや製品が高い顧客ロイヤリティを持っているのかを知らなければ、どこにどれだけのマーケティング予算を投入すれば良いのかもわかりません。
そのためマーケティング施策において、顧客ロイヤリティを計測することはとても重要です。
リピート率調査
顧客がリピーターかどうかを把握するためには、リピート率調査を行う必要があります。
リピート率とは、
- 製品やサービスを利用した顧客のうち再び同じ製品やサービスを利用した顧客が何人いるかの割合
のことです。
リピート率調査には、特定の顧客が製品やサービスを何回利用しているかを記録したデータが必要です。実際に店舗などを持っている場合は、先ほどご紹介したフリークエンシープログラムやPOSレジで集めた情報を利用することができます。
集められた顧客データを使って、単純にリピート率だけを計算することも可能ですし、「RFM分析」の一貫としてリピート率を計算することもできます。
また店舗を持たないメーカーなどは、小売店や販売代理店から販売データを提供してもらったり、購入した製品を顧客に登録してもらうことで、製品と顧客の紐付けを行います。
その他にもマーケティング調査会社に、調査を依頼することもできます。
注意点としては、
- リピート率は相対的に比較しなければ判断できない
ということがあります。
例えば、
- 自社製品Aのリピート率は30%(購入した顧客の3割がもう一度購入した)
という情報が得られたとします。
しかしこの情報だけでは、リピート率30%が高いのか低いのか判断することができません。
でももし、
- 自社製品Bのリピート率は20%
- 他社製品Xのリピート率は40%
という情報が手に入れば、今度は高いか低いか判断することができます。
- 自社製品Aのリピート率は自社製品Bよりも高い
- 自社製品Aのリピート率は他社製品Xよりも低い
というように比較することができれば、他社製品Xのリピート率の高さを研究し、マーケティング施策に活かせるかもしれません。
ネット・プロモーター・スコア(NPS)
ネット・プロモーター・スコア(NPS、Net Promoter Score)とは、顧客の中にプロモーターがどれくらい存在しているのかを知るための分析方法です。日本語では「正味推奨者指標」などとも訳されます。
NPSもリピート率と同様に、同業他社や業界平均と比較することで高いか低いかを判断することができます。
NPSでは、
- あなたは〇〇(製品やサービス)を友人や同僚にすすめそうですか(すすめる可能性はありますか)?
という質問を行い、0〜10までの11段階で顧客に回答してもらいます。
顧客の回答は、
- 批判者:0〜6のいずれかを選んだ顧客
- 中立者:7または8を選んだ顧客
- 推奨者(プロモーター):9または10を選んだ顧客
と分類され、それぞれの人数を集計します。
そして「推奨者の人数の割合」から「批判者の人数の割合」を差し引くことで「NPS(ネット・プロモーター・スコア)」を算出することができます。
例えば150人の顧客にアンケートを採って、
- 批判者:81名
- 中立者:42名
- 推奨者:27名
であれば、
- NPS = (27÷150×100)− (81÷150×100)
- NPS = 18% − 54%
- NPS = −36%
という計算になります。
この数値を同業他社の製品やサービスと比較することで、自社のプロモーターの顧客ロイヤリティが高いのか低いのかを判断することができます。
また各製品やサービスのNPSの数値と、客単価やライフタイムバリュー(LTV)の数値の相関性を見つけることで、プロモーターを増やすことがどの程度の売り上げ増加に繋がるかも予測することができます。
なお「日本人は事なかれ主義で5を選ぶ人が多い」といった指摘もあるため、国内で相対比較するのには問題ないですが、別の国の数値と比較するのであれば気をつける必要があるかもしれません。
ちなみに「NPS」や「Net Promoter」などの言葉は、外資系の戦略コンサルティング企業のベイン・アンド・カンパニー 、サトメトリックス・システムズ(Satmetrix Systems)、および発案者であるフレッド・ライクヘルド(Fred Reichheld) 氏が商標権を所有しているため、言葉を使用する場合には注意する必要があります。