クロスSWOT分析の誕生
TOWSマトリックスは、1982年にサンフランシスコ大学のハインツ・ワイリック教授が、学術雑誌「Long Range Planning(長期計画)」に寄せた論文「The TOWS Matrix – A Tool for Situational Analysis(訳:TOWSマトリックス – 状況分析のためのツール)」で登場しました。
SWOT分析自体は、目標に対する課題を発見しやすい分析フレームワークですが、戦略の立案にはあまり使い勝手がよくないものでした。そこで解決策を考え出した研究者の一人が、ワイリック教授です。
ワイリック教授以外にも、様々な実務者や研究者の手でSWOT分析が工夫されましたが、最も普及したのがワイリック教授のTOWS分析(クロスSWOT分析)なのかもしれません。
TWOSマトリックスが生まれた1982年というのは、戦略コンサルタントの大前研一氏が「3C分析」を世に出した年でもあります。戦略立案のためのフレームワークが盛んだった時代であり、これらの他にも様々なフレームワークや理論モデルが誕生しています。
ちなみにTOWSマトリックスのベースとなった「SWOTマトリックス」は、1960〜70年代にスタンフォード研究所のアルバート・ハンフリー氏が生み出したとされています。
本家クロスSWOT分析のやり方
こちらの図が、本家のクロスSWOT分析の論文から引用した手順表です。
上図では「Step 1」「Step 2」などと書かれているのですが、わかりにくいので筆者が意訳&補足しながら以下にまとめてみました。
- 経済
- 社会
- 政治
- デモグラフィック
- 製品と技術
- 市場と競争
現在の外部環境について調査を行います。PEST分析、マーケティングの3C分析などが項目として近いと思います。
外部環境の調査を行う流れで、それが将来的にどう変化するのかも予測しておきます。
このステップでは、先ほどの外部要因と内部要因を掛け合わせて、4つの戦略を作ります。
こちらの図の黄色い部分を埋めていく作業になります。
前のページでご紹介したクロスSWOT分析のやり方を参考にしてみてください。
ここでは後述する「インタラクション・マトリックス」が役に立ちます。SWOT分析で挙げた項目を対応表に落とし込んで、要素の組み合わせを考えながら戦略を練ることができます。
ここでは前のステップで生み出した4つの戦略から実行するものを選びます。
- 戦略
- 戦術
- アクション
を意識しながら選択します。
ここでは後述する「動的TOWSマトリクス」から、時間軸の変化も考慮すると選びやすくなります。
最後に仕上げとして、
- ステップ1〜6に一貫性があるかどうかの確認
- 緊急対応計画(コンティンジェンシープラン)の準備
を行います。
次のページからは、本家のクロスSWOT分析ならではの、
- インタラクション・マトリックス
- 時間軸を加えたクロスSWOT分析
をご紹介します。